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【トライアングルストラテジー感想】何かを選ぶ事の意味をロールプレイングで体験出来る秀作【8919文字】

2022年3月4日にSQUARE ENIXさんから発売された『トライアングルストラテジー』をプレイし、先日エンディングの1つを終えました。

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ゲームシステム、ストーリー、音楽やビジュアル、ゲーム内で確認出来る細かい世界設定などこの世界に没入出来る工夫が散りばめられた上で強固にまとまっており、結論から言うとここ数年プレイしたゲームの中で最も満足度が高かったゲームかもしれないというくらい楽しめてしまいました。

終わった直後は「Switch持ってる全人類このゲーム買いだろ!!!!!」と絶叫していましたが、そんなわけもなく少し経って冷静になりました。

それでも、このゲームが気になって購入を検討している人やプレイしたけどイマイチだなと思った人にも自分が感じた素晴らしポイントを可能な限り伝えたいと思って筆を執る次第です。

主な内容は以下のように

  • ざっくりとしたゲームの概要と進行方法
  • 良かった点
  • もう一歩欲しかった点
  • 見かけた否定的な意見に対して思う事

という順番で書いていきます。

未プレイ済の方にも向けた記事なので製品版でしかわからないストーリーのネタバレは含んでいません。

トライアングルストラテジーというゲーム

www.jp.square-enix.com

ゲームシステムの話

 ゲームジャンルとしてはタクティクスRPG。マス目上のフィールドで自分のキャラクターをターン毎に動かして相手を倒していくようなものが主となっています。

各キャラクターが1ターンで動ける範囲に限りがあり、相手の背後を取る、味方との連携攻撃、高所からの攻撃などの有利になる展開を考えながら少しずつ相手を殲滅していくのが軍師感あって楽しいジャンルです。有名なのだと『ディスガイアシリーズ』『FFタクティクス』などが同ジャンルです。

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本作は大まかに分けると

  • 戦闘パート
  • ストーリーパート
  • 探索パート

の3つがありこれらを織り交ぜて進行していくのですが、ここで主張しておきたいのが戦闘パートがメインでもストーリーパートがメインでも探索パートがメインでも無く3つ全てがメインであると言えるくらいゲームの面白さとして同じ重要度を誇っているという事です。

なのでとりあえずタクティクスRPGとしての戦闘をたくさんしたい、戦闘はいいから話を読みたい、という場合はテンポに不満を覚えてしまうかもしれませんし、実際体験版の時点でも製品版発売後でもTwitterで軽くサーチしたところ「ストーリーパートが長い」という不満が散見されました。これらに関しては後に各項で触れます。

 

 正直ここまでは他のタクティクスRPGと大きく違うという点は無いのですが、このゲームにはストーリー分岐が存在し、その方法が非常に独特です。

プレイヤーが取った行動や選択肢によって「利益」「自由」「道徳」の3つのいずれかの信念が主人公に累積されていき、各分岐点でその信念に沿ったルートが開かれていきます(厳密にはもう少し手順を踏みます)。

つまり自由の信念ばかりが累積されていたら道徳を重んじたルートには行けず、その逆も然りと言う感じです。

「じゃあとりあえず全部バランス良く取ったりすればいいじゃん」

そう思うかもしれませんが、これらの信念はどの選択肢・行動で何がどれくらい累積されるのかが示されず現在の累積値も確認出来ません。

その上戦闘中の行動・買い物・NPCと会話するなんてものですら信念が累積されていく為、エンディングまで完全に管理し切る事はかなり難しいと言えます。

2周目からは信念周りの情報が全て開示されるようになるのでエンディング回収やストーリー回収の為の周回では弊害にならないように配慮されています。素晴らしい。

更に、仲間になるキャラクターすらもこの信念によって異なる為、お友達と複数人で同時にプレイしたとしても全員が異なるメンバー・ルートで終わったという状況もあり得るでしょう。

仲間が異なるという事は戦い方が異なり、ルートが違うという事は読んだストーリーなんかも異なるのでそういう楽しみ方もありかもしれないですね。

私はまだエンディングを1つしか見ていませんが、分岐の内容を鑑みるに全く異なるストーリーになっていくので1人で楽しむのも勿論めちゃくちゃ楽しいと思います。

この信念による分岐がストーリーとも強く結びついており、ゲームシステムにおいてもストーリーにおいてもテーマそのものと言えるような概念になっていました。素晴らしいギミックです。

ストーリーライン

 はっきり言うと、ストーリーラインをここで分かりやすく書いてみようという気が全くしないくらい入り組んだものになっています。国家や個人、各国の政略など様々な思惑が絡み合っている為、本作のストーリーの魅力を書き表すのはそれだけで1記事使わせてくれというレベルになってしまいます。

 体験版の内容だけでも結構固有名詞盛り沢山で、そういうの覚えていくのが苦手な方の大きなハードルになってしまうだろうなとは思うのですが、めちゃくちゃ簡略化すると王位を継いだ主人公が、自分が何を大切にする人間なのかを知っていくお話です。

父親である先代の王が守ってきた国や民

別国の王子である友の意志

迫害されている民族である許嫁の同胞への気持ち

王家にずっと使えてくれている臣下

etc..

どれもが主人公にとって大切なものとして描かれますが、本作では何かをデメリット無しに"得られるだけ"の選択肢が提示される事はほとんど無く、様々なしがらみや困難の中、何を選んで何を選ばない人間になるのかを決定していく構造になっていると言えます。

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選択とは得てしてそういう性質を孕んでいますが、王としてのそれは選ばれたもの、選ばれなかったものそれぞれが余りにもに重く、良くも悪くもストーリーにのしかかっていきますし、あらゆる選択によってその人がどういう人物なのかが見えてきます。

なのでどういう選択をしていったにしろ信念による選択の積み重ねが主人公の成長と1つの大きな結末に繋がっているので、1人の人間が強く成長していく姿とその運命を体験出来る素晴らしいものに仕上がっていると感じました(少なくとも自分のプレイしたエンディングでは)。

王である父の背中を見ているだけであった青年が1つの軸を持って自己を獲得し、自分もまた信念ある王たり得ようと在る姿と結末は、たった十数時間しか共にしていないとは思えないくらいに心を震わせてくれました。この点は私の"自己を獲得していく人フェチ"としての側面がちょっと出ているかもしれません。

▼自己を獲得していく人フェチが出てる例

kraya.hatenadiary.jp

 

良かった点

システムとストーリーの結びつき

 ストーリーには分岐があり、それは信念システムによって決定づけられると前項で説明しました。

ストーリー設定を絡めて細かに言うと、主人公の国家には「信念の天秤」という天秤が代々の王に受け継がれており、重要な選択が迫った時には王やその側近、近しい関係者達がそれぞれの信念に基づいて天秤にコインを預け、傾いた方を国家の絶対の決定とする。という慣わしが存在しています。

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この天秤への投票によって分岐が行われて行くのですが、主人公達が属するウォルホート国家内(以下ウォルホート家)でもやはり思惑が様々で、自分の王家を優先するべきと考える側近や道徳的な考えを重んじる許嫁、民の幸せを願う王子などで意見がバラつきます。

そこで投票前に主人公(プレイヤー)が一人一人と話して回り、こっち意見の方が良くない?と説得していく機会が設けられているのですが、この時主人公に累積している信念が説得しようとしている意見に見合っていないと聞く耳を持ってもらえず、各キャラクターは自分の信念で投票を行っていきます。

 体験版でこのシステムを触った時は「ちょっと手の込んだ選択肢だな」くらいにしか思っていなかったのですが、製品版ではキャラクターの信念を全く変えられずプレイヤーの意に反する選択肢を取らざるを得ない状況になってしまう事もありました。

 

「プレイヤーの意にそぐわない選択肢しか取れない状況になるってゲームとしてどうなの?」

 

そういう意見も出るかもしれません。

が、私はむしろ全員を説得して回った上でプレイヤーの意と反した方に天秤が傾いた時大きく感動しました。

あぁ、自分はストーリーを自在に操れる万能な存在では無く主人公であるセレノア・ウォルホートのロールプレイをしていて、自分(がセレノアとして持っていた信念や取ってきた行動)ではどう足掻いてもみんなにわかってもらえない。説得出来ないんだ

そうしたリアルな感触を含んだ落胆と同時に、"RPGをプレイしている時はあくまでゲームの描く世界が主、プレイヤーは神なんかではなくその中のキャラクターに入り込んで世界を体験させて貰っているに過ぎないのだ"という事を強く痛感し、より一層本作に没頭していったように思います。

前述した通り、分岐が発生するのは国家の運命すら揺るがすような大きな選択の時。

そして天秤の決定は絶対。

天秤の決定は、今"我々は"こう在りたいというウォルホート家としての信念。

であればその信念による選択の中で最善を尽くすべきだと主人公も、別のキャラクターも、そしてプレイヤーもそう思えていく。

プレイヤー(主人公に)全決定権が委ねられるのではなく、ちゃんとその世界に参加している一員として扱ってくれるというロールプレイとして非常に高度な仕組みだと感じました。

戦闘が面白い・バランスが良い

 タクティクスRPGはメジャーなタイトルくらいしかプレイ経験がありませんが、これは初めて見たかもというギミックやシステムなんかもいくつかありました。

  • 天候による属性ダメージの増減
  • 床に油を撒いて炎技を使うと燃焼
  • 燃焼している所に風魔法で延焼
  • 水たまりに電気技を撃って感電
  • 壁を作って相手を分断

細かいものを挙げるともっとありますが、どれも主戦力レベルで戦術に組み込めるギミックになっており、基本的なタクティクスRPGの動きに加えてこれらの利用も考えながら立ち回るのは非常に楽しいものでした。

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 また、ストーリーを進めて行く上で戦う敵は完全に同じというものがほとんどおらず、同じモブキャラでも前とは違う強力な技を持っていたり、フィールドの構造・ギミックが特定の相手有利なものだったり、勝利目標が特殊だったり、ボスが色んな固有能力を持っていたりと相手への対応も毎度違っていたので飽きが全くと言っていい程ありません。

敵が単調過ぎると飽きが来るし、毎回違い過ぎても戦闘経験を活かしづらいという問題を抱えそうな中このバランスは絶妙だと思います。

 他にも戦闘面を面白くしていると感じた要素に、常に適正レベルで戦えるようになっているというものがありました。

戦闘に入る前に推奨レベルが表示されるのですが、そのレベルに達しているキャラクターは経験値があまり貰えず、逆に少しでも満たないものは大量の経験値を貰えるという仕様です。

この仕様がめちゃくちゃ偉くて、同じキャラをずっと使い続けていたせいで強くなりすぎて使用キャラが固定のような形にならず、逆に久しぶりに使うキャラクターでも戦闘中に推奨レベルに達する(アイテム使用や味方のサポートですら経験値が貰える)ので、いきなり敵と殴り合いとかさせない限りは低レベルでも戦力として起用が可能なバランスでした。これはつまり、常に「今回はこのキャラクターが役立ちそうだから」「このキャラクターが好きだから」のような個戦力の平等性を以って使用キャラクターを選べるという事です。

低レベルキャラでもとりあえず実戦投入して色んな戦術を試行錯誤出来るのはタクティクスRPGで陥りがちな色んな問題を解決しているように思いました。

 戦闘面に関してはもう1つ書かなければなりません。キャラクターの性能的な個性がめちゃくちゃ強いです。

所謂ヒーラー・バッファー・タンク・魔法使い・近接・遠距離みたいな役割の他にも、罠を設置するキャラ、天候を操作するキャラ、アイテムを軸に戦うキャラ、地形を操作するキャラなど色んな個性があり全員に活躍する機会が与えられているし、1つのステージでもプレイヤーの発想次第で攻略方法は様々なんだろうなという印象を受けました。

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はしごをかけて新しい進行ルートを作ったりする子

魔法使いでもそれぞれ使用出来る属性が偏っていたり、バッファーでも味方のステータスを強化するのか行動回数や技使用回数を強化するのかなど個性が分かれており、個性が分かれているという事は汎用的でないという事でもあるので、必須メンバー以外は出撃の度に結構悩んだり出来ます。楽しいです。

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使える魔法の属性は雷と風のみだが天候を操作する魔法使い

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炎に特化した魔法使い。単属性な分上位魔法が使えたりする

音楽・ビジュアル面

 世界への没入感を強めてゲーム体験を引き上げてくれる重要な要素ですが、個人的には文句無しでした。

BGMに関しては種類自体が多いわけではないように感じましたが、戦闘中のものにしろそうでないにしろしっかりとその役割を果たしてくれましたし、BGMをフェードアウトさせるタイミングや入れるタイミングなんかもかなりプレイヤーの感情とリンクさせる事を意識してくれていたように思います。

特にタイトル画面で流れるメインテーマのような曲は1周プレイ後とプレイ前ではかなり違った印象を持つのではないでしょうか。

ビジュアルはオクパストラベラーと同様のHD-2Dと呼ばれるものですが、やっぱり綺麗ですね。自分はこのグラフィックが大好きなので町やフィールドを歩いてるだけでもウキウキモンキーになっていました。

「公式サイトを見たけどかわいいキャラが居なかったから買わなかった」

という意見も見受けられましたが、確かにオタクくんを意識した萌え萌え~~って感じのテイストではないので、作風・ビジュアルが好みなキャラクターのみがゲームプレイのモチベーションになってると噛み合わない場合もあるかもです。

世界観の深掘り

 本作には「手記」というものがあります。

これはこの世界の誰かが書いた文章で、購入出来たり本棚から拾えたりするものなのですが、その世界の歴史や登場人物の胸の内を始めとした様々な事柄について書かれています。

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ちょっとしたチュートリアルみたいのも盛り込まれたりしてる。個人的には大好き

これが質も量もめちゃくちゃ優秀で、中にはストーリーや人物の見方が変わってしまうものなんかもあってこれらの魅力を知ってしまうと常に手記を探したくなってしまうし、読みながらプレイする事でよりストーリーや選択肢を味わえる仕様になっています。

『システムとストーリーの結びつき』の項で書いた通り“RPG“としてこの世界に浸れる仕組みを持った本作ですが、これによって更に深い結びつきをプレイヤーに提供してくれているなと感じました。

義務的に読もうとすると大変かもしれませんが、ぜひプレイの際は興味を持った手記だけでも読んでみて欲しいです。

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許嫁の民族がどのような扱いを受けているかもより具体的に垣間見える

もう一歩欲しかった点

 明らかにユーザビリティが低かったり致命的な進行不能やバランス崩壊を感じない限り、提供されているコンテンツに不足など無くそれで完全だと思っているので(めちゃくちゃ当たり前ですが)ほとんどが「こうだったらより嬉しかった!」という個人的な要望や願望に近いものになっています。

クリア後やり込み要素

 いずれかのエンディングを見たデータをロードするとほとんどの要素を引き継いで最初からプレイ出来るのですが、所謂クリア時点では手を出す事すら躊躇われるような高難易度コンテンツみたいなものはありませんでした。

正直トライアングルストラテジーというゲームにそれが必須かと言われると全くそんな事は無いので、あくまで自分の個人的に欲しかったなポイントです。

一度エンディングを迎えた後に触る要素としては、全3種類のエンディング+真エンディングと呼ばれるものの全回収が該当します。

キャラクターの深掘り

 既にプレイした方ならこのタイトルを見て

「いや、キャラクターの深掘り要素あるじゃん」

と思われるでしょう。本作には各キャラクターの出撃に応じて寓話が発生し、メインストーリーでは見られないキャラクターの過去や信念の所以、戦う理由なんかを垣間見る事が出来ます。

しかし自分の進行(難易度ノーマル。色んなキャラで遊びながら)では初期から加入しているキャラクターでも恐らく最後の寓話までは見れていません。

戦闘バランスの項で挙げた通り本作はレベル上げを始めとした所謂稼ぎの要素があまり無いので出撃回数も進行の中で増やしづらく、2周目に持ち越しという形になっています。

この寓話をレベルに応じて解放というような形でもっとサクサク見れて、一番熱が入りやすい1周目の時点で主要キャラクターのものを全部見れてたらまたストーリーの選択なんかに影響を及ぼしたりしてたんじゃないかなと思ったので、個人的には惜しいポイントとなってしまいました。

寓話の中身自体は本当に良くて、キャラ同士の関係性が深まったりストーリー中だとまず見られないような一面を見られたり、少しでも気になるキャラクターが居たら次の寓話が楽しみになるようなものばかりでした。

見かけた否定的な意見に対して

ストーリーパートが長過ぎる

 確かにストーリーパート(テキストを読んでいる時間)は他のRPGなんかと比べても長いです。それは間違いありません。

が、先に書いたようにストーリー・戦闘・システムのどれもが主役と言える働きをしている為冗長だった印象は皆無です。

とりあえずタクティクスRPGの戦闘をガンガン遊びたかったという場合は肩透かしを食らうと思うので、未プレイで購入を迷っている方は体験版で雰囲気を掴むのが良いと思います。

固有名詞が多くて覚えられない

 多いように見えて実はそんなに無いです。最初は固有名詞がバンバン出てきて圧倒されるかもしれませんが、計5つの国とそれらに属する数人の名前が出てくるだけなのでプレイしていればいずれ覚えられる量だと思います。

人物が喋っている時Xボタンを押すとその人物の所属している国や人物像などを簡易的に表示してくれる機能があったり、そもそも国・人物のどちらも特徴がハッキリしているのでビジュアルと名前の雰囲気だけでも一致させてしまえば固有名詞を一言一句覚える必要がそれ程無かったりします。

ただ義務教育課程を修了していない方だと、自分に関わりが無い人物やものの名前を覚えるという事自体にまだ馴染みが無い可能性があるのでびっくりして泣いてしまうかもしれません。そういう意味では義務教育を修了している方向けです。

自分の思ったルートに行けない

 諦めましょう。そういうゲームシステムです。

"自分の思い通りにならない"という事に対して前向きな意味を見出せるようになるといいですね。一応2周目以降は信念量を確認出来るのである程度操作可能です。

ゲームの中では全能でありたいという方には向いていないと言えます。

主人公に主体性が無いように感じる

 繰り返しになりますが、主人公は物語序盤に国家を担う者となり国を揺るがすような決定を多々迫られます。

そして国家内で意見が割れた場合は国家に伝わる天秤を用いた投票で進路を決定するのですが、「重要な決断から逃げて天秤に頼ってばかりだ」といった意見が見られました。

よく考えて欲しいのですが

許嫁や先代からの側近。良くも悪くも運命を共にするそういった人達の信念を無下にして自分の意見だけを優先していく王が、主人公であるエレノアの目指す王や国家の姿なのでしょうか?

仮に決断から逃げて天秤を使っているとして、その後の彼の行動は「天秤で決まっちゃったからこうするか」というような消極的なものだったでしょうか?

あるいは誰かの意見に乗っかる事に主体性を感じられないのだとすれば、そもそもこのゲームには投票の際に自分の信念に応じて他キャラクターを説得して回れるシステムがあるのにも関わらずその意味を理解していないプレイヤーの主体性の無さか、“エレノアが誰かの意見に耳を傾けている事“自体が1つの主体的な意味を持つというのをストーリーから読み取れなかった文章を飛ばしているプレイヤーの声なのかなと感じました。

天秤が持つ意味とエレノアの行動、意見を選ばれなかったキャラクター達の気持ちをぜひ考えてみて欲しいです。

 どうしても「主体性が無いだろ」という批判をしたい方は、エレノアがデートの際に「行きたい場所?別にどこでもいいよ笑」と言って許嫁を怒らせる日常編が追加されるのを待ちましょう。その時は私もキレながら感想を書きます。

おわり

 終わりです。色々書きましたが個人的には1周目を終えた時点でもめちゃくちゃ良いゲームだったのでまだまだ楽しめるんだなあとウキウキモンキーになっています。

「製品版をプレイしたら体験版がネガキャンに思えた」という意見を見て笑ってしまいましたが製品版はそれに頷けてしまうレベルの出来だったと思います。

近年「面白いゲームって何なんだろうな」みたいな事を考えながら色んなゲームを触っている私ですが、既存のゲームの型に囚われ過ぎず

「トライアングルストラテジーでやりたい事はこれである!」

を強く感じ、その完成度も体験も高いレベルであった本作は間違いなく面白いゲームと言えるものでした。

特にロールプレイを行うゲームとしての完成度は本当に高かったと思うので、気になってる方もこの記事きっかけで知った方も、自分に向いてそうだと感じたらぜひ製品版をプレイしてみて欲しい作品です。

 どうでもいいですが、気づいたら記事の9割を書き終えてから一か月近く経過していました……。

こういうのを書く時毎回詰めの部分了でダラダラしちゃうの良くないですね。次のゲーム感想はもっと早く出せたらいいなあ(何になるのかもわかりませんが)。